「愛を知らない」
一木 けい
高校2年の涼と同じクラスの橙子は遠い親戚だが、幼いころから支離滅裂な言動を繰り返す橙子を、涼は「関わりたくない」と避け続けてきた。ところが、涼がピアノの演奏を担当する合唱コンクールで、クラスの中でも人望の厚いヤマオがアルトのソロパートになぜか橙子を推薦。指揮者の青木さんと4人、一緒に練習せざるを得なくなる。ぞんざいな態度をとる橙子に当初は困惑する涼たちだったが、彼女が抱える「ある事情」を知ることで見る目が変わり、橙子も仲間やその家族との触れ合いを通じ少しずつ心を開いていく。しかし、橙子はさらに誰にも言えない秘密を抱えていて――。